「フチがギザギザの10円玉おは、普通の10円玉の3倍の価値がある」
こんな話を聞いた事はないだろうか。
フチがギザギザの10円玉=ギザ10は3倍=30円になる。
これを聞いたのは今から30年以上前。
元号が平成に変わる前の昭和の時代の事だ。
まだ少年だった記者は、
「じゃあ、ギザ10で100万円貯めれば300万円で売れるって事じゃん!」
と、ギザ10を見つけたら使わずコツコツと貯め込んだのだった。
中学の3年間、手に入れたギザ10は小さな箱に収集していた。
結局、ギザ10で100万円貯めるなんていう夢は叶わぬまま、
収集はいつの間にか終了。
その小箱の事さえ忘れていた。
先日、実家のクローゼットを整理していると、あの小箱を発見。
中を見てみると48枚の「ギザ10」が出てきたのであった。
もし、当時友だちが言っていた通り3倍の価値があったとしても、
たった1440円にしかならない。
古銭屋に持ち込んで、買い取ってもらったところで、
大した儲けにもならない……。
しかし、あれから30年以上経った現在であれば、
さらに価値は上がっているかもしれない。
ギザ10の価値を確かめたいという興味が湧いてきた。
さっそく、古銭の買い取りをしているという古物商に電話をかけてみた。
「あの……ギザ10って買い取ってもらえますか?」
すると、電話口の男性は諭すように話し始める。
年代によっては買い取りもできるんですが、それは未使用のものに限ります。
使用した10円玉に関してはギザギザのある10円であっても、10円以上の価格はつきませんね。
なんと……30年以上前、友だちから話を聞いてギザ10を集めまくった
少年時代の記者の努力はまったくのムダだったのだ。
ちなみに、未使用であった場合、いったいどれくらいの買い取り価格がつくのだろう。
昭和26年なら最高で6万円、昭和32年なら4万円、昭和33年なら5万円ほどになります。
いずれも完全未使用で光に当てず、大切に保管していた状態の良いものに限りますね。
ギザ10が作られていたのは、昭和26年~33年のうち31年を除いた7年で、
上記の価値の高い3年は、特に発行枚数が少なかったのだという。
友だちの言っていた「3倍」などではなく、6000倍にもなるものが存在したのだ。
記者の集めたギザ10は当然使用品であるから、10円以上の価値はないのだが、
試しにそのプレミアがついている3年間のものはないかと探してみると……。
あった!
48枚中、わずかに1枚!!
昭和32年製造のギザ10があったのだ。
ああ、これが未使用だったら4万円だったのに……。
こうして30余年ぶりに湧いた興味は、寂しい結果で幕を閉じたのであった。
間もなく「令和」へと改元される。
もしかしたら「平成」モノの価値が上がるかもしれない。
将来、価値高騰を臨むのであれば、使用せず大切に保管するべし!