2019年3月25日。
カップ焼きそばファンにとっては寂しいニュースが発表された。
エースコックの「大盛りイカ焼きそば」が3月末をもって生産終了。
UFOやペヤングの影に隠れながらも、イカという独自の具を武器に1988年の発売以来30年に渡り親しまれたこの商品は、まさに平成を生き抜いたカップ焼きそばの代表のひとつであった。
そんな暗いニュースが流れる中、カップ焼きそば業界には新たなブームが巻き起こっていた。
「一平ちゃん」(明星)は、よりこってりとした「マヨ濃(コク)」を謳いリニューアル。より濃厚な味わいに。
「UFO」(日清)は「濃い濃いソース」と題し、濃厚なソースをアピール。
そして、「大盛りイカ焼きそば」の撤退を発表したエースコックはそれに先駆けて「太麺濃い旨スパイシー焼きそば」を発表している。
さらに、ラーメンでヒットを飛ばしたマルちゃん正麺は「焼きそば~濃厚コクソース“豊潤仕立て”~」を発売した。
まさに、濃厚ソース戦争の様相なのだ。
この健康志向が高まる日本で突如として巻き起こった“濃厚”の嵐。
これはいかなる理由からなのだろう……と思ったが、
カップ麺を食べる時点で、そんな健康志向とは無縁の人間なのだろう。
そう、人種が違うのだ。
とにかくジャンク指向の消費者の味覚にばっちりとハマったのが“濃厚”ということなのだ。
さて、それぞれの味であるが……。
「一平ちゃん」は、ソースは普通であるが、麺にもソースを練り込んでいる上、マヨネーズでコクをプラスしている。そのため、好き嫌いが分かれるところだろう。しかしながら、ジャンク志向の人間にとってマヨネーズは絶大なる人気を誇る“ソース”である。支持が高いのは当然だろう。からしマヨネーズの鼻に抜ける辛味、そしてふりかけの魚粉も、一平ちゃんならではの味となっている。
一番人気の「UFO」はその人気が表すように安定のおいしさに、コクが加わった絶妙さ。万人に愛されるオーソドックスな仕様に、青のりも付属と王道を行く仕上がりになっている。誰もが安心して食べられる信頼の一品だ。
「太麺濃い旨スパイシー焼きそば」は、濃厚ソースがよく絡む太麺採用と麺にもこだわった逸品。量的には飽きが来てしまいそうな感じがするが、そこはスパイシーさで食欲が持続。食の太い男性でも満足感の高い一杯になっている。太麺だけにお湯を入れてからの待ち時間5分と長いのがマイナスポイントか。薬味的には具材の野菜の中に青ネギが入っているのが、他にはない特徴となっている。
そして「太麺濃い旨スパイシー焼きそば」は、マルちゃん正麺シリーズだけあって、麺のウマさは秀逸。ソースも液体と粉末のダブルで濃厚さもピカイチ。付属の青のりもソースとの鉄板コラボで◎。ただし、これもお湯を入れてからの待ち時間が5分と長いことが、気の早いカップ麺ファンにはマイナスか。
このように濃厚ソースと一口に言っても、それぞれ特徴があり、
あとは好み次第というところだろう。
一度、すべて食べて試してみることをオススメする。
さて、ここまできて気になるのが、やきそば界の風雲児・ペヤングの動向だ。
激辛やギガマックス、スカルプDなど、新商品を次々に出しているが、
この濃厚ソース戦争には、いまだ参戦していない。
ペヤングのブームへの殴り込みはあるのか!?
あくまでも独自の路線をいくのか。
新時代の幕開け早々から、カップ焼きそばから目が離せない!