昨年7月に衝撃的デビューを飾り、爆発的な人気となったスズキの新型ジムニー。
発売直後の納期は、注文から約18カ月となっていたが、それは2019年3月の時点でもほぼ変わらず1年以上になるという。
すでにジムニーの注文は目標であった1万5000台を大きく上回る1万7000台超となっているから、空前の大ヒットといえよう。
さて、ジムニーといえば本格的なクロスカントリー仕様として1970年から50年も親しまれている軽自動車。
当然、今回の20年ぶりのフルモデルチェンジは、オフロード愛好者にとっては“待望”であったものの、この人気に飛びついたのは愛好者だけではなく、オフロードには縁もゆかりもないライトユーザーも多い。
ネットでの反応を見ると、オフロード愛好者たちの「ジムニーの良さも分からないやつら」「ジムニーを街乗りで使うやつら」的な、ライトユーザーへの批判的な蔑みが見られる。
愛好者たちが言うように、ジムニーはライトユーザー向けではないのだろうか。
早速、ジムニー(AT)を手に入れ、半年間で3000キロ走行したという佐藤氏(47歳/仮名)に話を聞いた。
ちなみに佐藤氏は、オフロード、クロスカントリーにはまったく興味のないいわゆるライトユーザー。
今回、1500ccの小型SUVからの乗り換えである。
もちろん、走行した3000キロには悪路は一切含まれていない。
佐藤氏の感想は以下の通り。
・外装、内装はカッコイイ。
・運転席は狭くない。後部座席に人を乗せると荷物は載らないので、やはり全体としては狭い印象。
・加速が悪い。
・スピードをあまり緩めないでカーブを曲がろうとするとちょっと怖い。
・軽自動車なのにリッター12~13kmと燃費はそれほど良くない。
オフロード愛好家に言わせれば、すべて許容範囲。加速やカーブの安定性についても、オフロード車とすれば、当然のことなのだろうが、街乗りだけということを考えると、マイナス面が多いように感じられる。
では、ジムニーはライトユーザーが、見た目だけで選ぶ車ではないということなのだろうか。
それは否であろう。
道行く人の服装を見てみれば分かるだろう。
ノースフェイスにパタゴニア、コロンビアといったアウトドアブランドのロゴの入った服を着た者の多いこと……。
おそらく、彼らのなかで実際に山に登るという者はほとんどいないだろう。
ゴアテックスなんていう素材も何の役にも立たないだろうし、その他アウトドア仕様の恩恵などまったく感じようともしない。
彼らの求めているのはデザイン性やブランドの名前のみ。
ジムニーだって同様だ。
とにかくカッコイイ!
機能をまったく生かさなかろうが、なんだろうがデザインがカッコイイという理由だけで、乗っても良いし、乗るべきなのである。
もちろん、そんな人が多いばかりに納期がずっと先になってしまう愛好家の不満はあるだろう。
しかし、デザインで選んだとはいえ、“ジムニー愛好者”なのだ。
ジムニーは、オフロード愛好家のみのものではない。
いまや、すべての人に愛される史上最強の軽自動車なのだ!