“熊殺し”
なんとセンセーショナルな異名だろう。
素手で2mを超えるグリズリー(人喰い熊)を殴り殺す。
そんなマンガのようなことをやってのける超人的な空手家が実在していた。
ウィリー・ウィリアムス
あの極真空手出身の空手家で、極真空手を描いた映画『史上最強の空手2』の中で巨大なグリズリーと素手で闘い勝利。
“熊殺し”の異名を取るようになった。
彼の活躍は梶原一騎原作の劇画『四角いジャングル』でリアルタイムで描かれ、アントニオ猪木との「格闘技世界一決定戦」に挑むこととなる。
伝説の“熊殺し”と、当時人気も実力も絶頂にあったアントニオ猪木の一戦は、空手とプロレスの威信をかけた決闘の様相を呈し、両軍がリングを取り囲む異様な緊張感の中行われた。
試合は、両者もつれたままリング下に転落し負傷。
両者ドクターストップという残念な結果に終わったが、いまだにあの緊張感あふれる試合は格闘技マニアの間で語り継がれる伝説の試合となっている。
その後、90年代には当時最強の空手家といわれた佐竹雅昭、格闘王・前田日明らと対戦した。
かつての伝説の威光は薄れていたものの、ウィリーの戦う姿に往年のファンは心躍らせたものだ。
6月10日、その“熊殺し”ウィリー・ウィリアムスの訃報が報じられた。
享年67歳。心不全だった。
熊をも倒した伝説の男も老いと病気の前に倒れた。
しかし、彼の伝説は我々の心の中で生き続けることだろう。
“熊殺し”ウィリー・ウィリアムスのご冥福をお祈りします。