長崎に旅行に行った際に、ぜひ食べてほしいすばらしい料理がある。料亭旅館『坂本屋』の「卓袱(しっぽく)料理」だ。
卓袱はもともと親交を深めるための料理で、身分の上下なく平等に円卓を囲むの特色。始まりの「お鰭(ひれ)」(鯛の身の入ったお吸い物)以外は、食べる順番、食べ方などの決まりはなく、円卓に並んだ料理を好きなように自分の箸で小皿に取り分けて食す。
「卓袱料理」のルーツは、鎖国時代、海外に唯一窓を開いていた長崎に来航した唐人により伝えられた接客料理。これに和風、中華風、スペイン、ポルトガル風のアレンジを加え、独特の料理として完成された。
取材日、夜7時、昼間に予約しておいた「卓袱料理」を食べに、老舗旅館『坂本屋』へタクシーで向かう。豚の角煮や南蛮漬けなど、円卓に並んだ料理の数々は迫力十分。見ているだけで満腹になるのだ。雑煮から始まり、デザートで締めくくるコースを1時間ほど楽しんだ。
「卓袱料理」は、坂本竜馬を始め維新の有志たちも食べたという逸品。仲居さんが次々に料理を運んで来る間に、卓上の数々の料理をこまめに摘むのが楽しい。味もよく見た目も大迫力なのでぜひ旅の記念に食べてほしい料理だ。
『坂本屋』
卓袱料理 一人3000円~(お昼の食事)
一人8000円~(夜の食事)
宿泊料金 1万8000円~(卓袱料理)
長崎県長崎市金屋町2-13
【名物グルメ その44】
→つづく。
取材・文 イコマ師匠…『俺の旅』編集長。徹底した現場取材をモットーとしている。全国の歓楽街、観光名所、名物グルメを完全網羅。『俺の旅web』の編集長ブログで取材ルポ日記を紹介している。