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それでもカレーは食べ物である その7 日本のネパール料理を担うお母さんの味 小岩『サンサール』

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東京のネパール料理のレストランシーンを切り開く、愛と笑顔の味!

インターネット前夜の20年ほど前、お気に入りの店を探すには雑誌と口コミ、自分の足だけが頼りの時代があった。

下町住まいのわたしは近所でなにかうまい店はないものかとよく歩き回っていた。

小岩の商店街の、はずれもいいところにレストランを見かけて入ってみた。

なかなか良い店だと気に入って通うようになってから随分経った。

実はここ『サンサール』は、日本のネパール料理をリードしてきた店だと後から知った。

ネパール人が東京で胸を張って自国の料理を出すようになった、昨今の先駆けの店なのだ。

少々ご無沙汰だったが、店主のウルミラさんが笑顔で迎えてくれた。

注文、久しぶりで思わず頼みすぎてしまう。

インド料理からプロウンマサラとナンタンドゥーリミックスを。

 

ネパール料理はダルバートモモを。




 

どれも素晴らしい味だ。

北インドのレストラン料理には華やかさと驚きがある。

息を飲む美しさとおいしさの海老カレー、プロウンマサラは食べ終わるのがつらくなるほどだ。

タンドリー料理も申し分ない。

そしてネパール家庭料理のダルバートは、地味だがじわりと気持ちに響く食卓の原点のような喜びがある。

シンプルな中にセンスと愛情を込めたひと皿は、ネパールのお母さんの味で毎日食べたくなる。

どの料理も丁寧で生真面目な作りなのが伝わってくる。

北インドのレストラン料理とネパール家庭料理、どちらも質の高い食事が供される。

 

近所のお年寄りや子どもも喜び、遠方からやってくる食通の舌をも唸らせる幅と奥行きある味だ。

ウルミラさんはネパールのチャーミングな女性。

カトマンズでは、ネパールの王政時代の最後の王族料理人をしていた父と、自分の食堂を切り盛りする母と兄弟たちで暮らしていた。

そんな料理人一家の彼女。

縁あって日本に渡り、努力を重ねて自分の店を持つに至った。

苦難と努力の日々の中でも曲げなかったことがある。

「安易な安売りをしない事、嘘をつかない事」

安売りをすれば必ず品質と価値に狂いが出る。

そこから店は崩れてゆく。

それは同時に客にウソをつくこととなる。

絶対に許せなかった。

かわいらしい雰囲気とは裏腹、強いハートを持つ女性なのだ。

たくさんのネパール料理専門店がしのぎを削るまでになった2018年の東京。

しかしサンサールの輝きは20年前と変わらず、一つの曇りもないままだ。

写真を担当する鈴木文彦氏がぼそりと呟いた。

「真面目で魅力的な人が魂を込めて作っているからおいしいんですね。技術とか以上にそこじゃないかな」

そう、魂の問題なのだ。

言葉もない。

かわいらしい笑顔とこちらの胸の中を覗き込むような一途な眼差し。

そんな彼女に惚れた弱みも正直ある。

が、味とはそれ含めのものなのであろう。

わたしの舌は恋に落ちたようだ。

 


ダルバート(1500円)、プロウンマサラ(1100円)、モモ(700円)、タンドゥーリミックス(1500円)。4000円のコースはネパール・ネワール族の初めて食べるメニューが数多く出ておすすめ。

[ サンサール 小岩店 ]
住所 東京都江戸川区南小岩5-18-16 ニューシャトレー103
電話 03-5668-3637
交通 JR小岩駅から10分
営業時間 11:00~14:30(L.O.) 17:00~22:30(L.O.)
定休 無休

http://san-sar.info

 


イイヅカアツシ/はぴい
ライター。フードジャーナリスト。食べ歩きスターチーム『たべあるキング』メンバー。著書『iPhone×Movieスタイル』、『カレーの本』。ブログ『カレーですよ』では13年、5000記事を超える実食カレー記事掲載。

https://blogs.yahoo.co.jp/hapii3

 

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