1970年代半ば、マンガ『サーキットの狼』(池沢さとし/集英社)によって火がついたスーパーカーブーム。
少年たちは、スーパーカー消しゴムにスーパーカーカード、プラモデルなど、実際には」見たことがない“スーパー”な自動車に思いを馳せた。
スーパーカーの人気の秘密はその希少性にあった。
世界にたった〇台しかない……そんなプレミア感に少年たちは萌えたのだ。
なかでも“幻”と言われたのがランボルギーニ・イオタである。
製造台数はたったの1台。
世界にたった1台のイオタは消しゴムやプラモデル、カードでも抜群の人気を誇った。
いつか実際に本物を見られる日がくるのを信じ、手に入れたカードを見てニヤニヤしたものだ。
しかし、幻は幻のままで終わる。
イタリアの高速道路での高速テスト中に事故を起こし廃車となってしまったのだ。
遠く離れた日本の少年たちは、イオタを拝むことなく憧れたままになってしまったのだ。
あれから50年、ランボルギーニの聖地・イタリアのサンタアガタで行われたイベントにて、幻の名車・イオタの原寸大アルミ製フロントオブジェクトが公開された。
これは「アヒルのジェイ」プロジェクトの一環として行われた。
「アヒルのジェイ」プロジェクトとは、自動車の素晴らしさを広める活動を行っている日本の企業・GGF-T代表である赤間保氏が創作した絵本『アヒルのジェイ』をベースに、子どもたちに“ものづくりの楽しさと夢を持つことの大事さを伝えること”を目的として行われている活動である。
まさにランボルギーニの聖地であるサンタアガタは、この活動にはうってつけの土地というワケだ。
ランボルギーニ・イオタ生誕50周年に合わせて世界各地で作られた“クローンイオタ”やファンが集結。
そんななか公開された日本の高い技術によるアルミ叩き出し成形されたイオタのオブジェは、70年代に日本の少年たちがスーパーカーに感動し夢を馳せたのと同じように、イタリアの子どもたちに感動と夢を与えたことだろう。
イオタは幻で終わったが、夢は幻では終わらない。
こうした活動が子どもたちの夢を育んでいくのだろう。
「アヒルのジェイ」プロジェクトを行うGGF-TのHP