戦後の日本のおもちゃといえば、メンコやベーゴマなど昔からの伝統的なものしかなかった。
70年代になって、やっとトミカや超合金など日本独自のおもちゃが多く生まれてきた。
その一方でアメリカから来たおもちゃが軒並みヒットを記録したのもこの時代だった。
1976年、コカ・コーラが販促のためにオマケにつけたヨーヨーが大ブームとなった。
ヨーヨーが大流行となった要因は、単にそれが無料で手に入るオマケだったからというだけではなかった。
コカ・コーラが、ヨーヨーの大プロモーションを展開したのだ。
海外からヨーヨーチャンピオンがやって来て、全国でテクニックを披露するイベントを開催。
それを見た子どもたちはこぞってそれを習得し、仲間たちと競い合った。
さらに、それを競う大会が各地で開催されるようになる。
そこで優勝者に与えられるチャンピオンキャップは、当時の小学生の憧れの的であった。
ヨーヨーブームは79年にも再燃。
その後、日本独自に進化したハイパーヨーヨーなど、ヨーヨーは、たびたびブームになっている。
1978年にコカ・コーラがヨーヨーに続けとばかりに投入したのがバンバンボールだった。
板状のラケットを使ってゴムでつながれたボールを叩くというもの。
これには、こぞって各社が類似品を発売し、ヨーヨー同様に一気に大ブームとなった……かに見えた。
だが、ヨーヨーほどテクニックに広がりがなかったため、ブームは短命に終わってしまった。
同じく1978年、ツクダオリジナルから発売されたのがアメリカ生まれのグロテスク玩具スライムだ。
緑色の粘性を持った半固形物の不思議な触り心地がウケて人気爆発。
これも各社から類似品が発売されるに至った。
これ以降、ゲル状の半固形物を表現する言葉として“スライム状”というのが浸透した事からも、その人気の高さがうかがえる。
後にRPGゲーム『ドラゴンクエスト』の最初のモンスターとして登場することとなる。
まだ、独自のおもちゃがあまりなかった時代、日本の子どもたちはアメリカのおもちゃの斬新さに驚嘆し、夢中になっていたのだ。