やはりカレーライスは黄色いものに限る!
昭和世代には黄色いカレー=うまい!という公式が擦り込まれている。
それは学校の給食で出たカレーが「黄色」であったからにほかならない。
当時の学校給食においてカレーはぶっちぎりの人気を誇る献立だった。
昭和の小学生にとってカレーは“ごちそう”だったのだ。
新潟駅から徒歩すぐの万代シティバスセンター内の『万代そば』は、40年以上愛され続ける立ち食いそば店。
この店の名物が「普通カレーライス」(470円)だ。
多い日には400杯以上売れるという逸品は、トンコツスープをベースに香り高いスパイスを利かせたクセになる味わいと評判だ。
おいしさと安さが両立しているうえ、しかも早いときた。
昔懐かしの黄色も楽しい。
この色を見ただけで、昭和の“ごちそう”を思い出す。
思わず、唾液が溢れ出てくるほどだ。
しかし、スプーンを持つと一抹の不安が頭をよぎる。
あのときの黄色いカレーは本当においしかったのだろうか?
ピザもグラタンもペペロンチーノも知らなかった当時の少年にとっておいしく感じただけで、
今食べたらおいしくないんじゃないか……。
たしかに、当時のカレーを思い返してみれば、カレー粉を溶いたお湯に片栗粉を加えてとろみを出しただけの味に深みのない薄っぺらいものだった。
今食べたら、“黄色いカレー”の美しい思い出が吹き飛んでしまうのではないか……。
おそるおそるスプーンを口に運ぶ……。
う……うまい……!!
言葉に詰まるほどの衝撃だ。
口に入れた瞬間にふわっと広がるスパイスの刺激、さらにトンコツスープのコクが味に深みを出している。
近年、数々の専門店のちょっとしゃれたカレーを食べて来たが、
これはそのどれとも違う。
懐かしい日本の伝統的なカレーを壊すことなく確実に“至極”の域に達するものとなっているのだ。
この味はインド風や欧風カレーに出すことはできないだろう。
まさに、“日本のカレーライス”であり“ごちそう”なのだ!!
この「普通のカレーライス」のおかげで、懐かしいごちそうの思い出は守られた。
取材当日も次から次へと客が押し寄せ、店頭には、立ち食いにいそしんでいる姿がいっぱい。
券売機の前には常に人の姿があった。
レトルトカレーにもなっているこの名物。
新潟に行ったならば、『万代そば』で470円の“ごちそう”を味わうべし!!
『万代そば』 営業時間8時~19時 終日禁煙 休日1月1日
【名物グルメ その1】
→つづく。
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取材・文 イコマ師匠…『俺の旅』編集長。徹底した現場取材をモットーとしている。全国の歓楽街、観光名所、名物グルメを完全網羅。『俺の旅web』の編集長ブログで取材ルポ日記を紹介している。