昭和の少年の修学旅行や家族旅行のおみやげの定番といえば、70年代以前であれば木刀とペナント、そして80年代に人気を博したのが都道府県キーホルダーだった。
都道府県キーホルダーは、集めて合体させれば日本地図が完成するという“コレクションする楽しみ”のある逸品だった。
しかし、この都道府県キーホルダーにはひとつ困った点があった。この商品を製造、販売しているのが、ひとつのメーカーではなくいくつも存在していたのだ。そのメーカーごとに地図の縮尺が違うので、せっかく買ってきて、自宅で「さあ、合体させよう!」と思っても接合面がまったく一致しないということが頻発したのだ。
旅行先での買い物だけに、取り返しのつかないことになるわけだ。
それでも日本地図を完成させるために、旅行のたびに買い漁る。隣接する県のキーホルダーを手に入れて、合体させる事が最高の喜びだったのだ。旅行先での観光よりも、都道府県キーホルダーを手に入れる事を楽しみにしていた子供も多かった。
実は東京駅の新幹線ホーム周辺の売店では、日本全国のキーホルダーが販売されていたので、金さえあれば一気にそろえることもできた。それを発見し、集めるのがバカらしくなった者もいたという。
都道府県キーホルダーは、90年代までは各地のおみやげ屋で売られていたが、2000年代前半にはほとんど見られなくなってしまった。
現在、この都道府県キーホルダーは、オークションなどで当時の数倍の価格で売買されている。
少年時代に抱いた全国のキーホルダーを集めるという夢を、大人になった現在でも追い続けている者は多い。
コレクターの“昭和”はまだまだ続いているのだ。