昔から「ダサイいたま」と罵られ、「都道府県別魅力度ランキング」では下位の常連。
今年も映画『翔んで埼玉』でさんざんコキ下ろされたうえ、それでもそれを受け入れてしまう郷土愛の浅さを見せている。
そんな埼玉でもプロレスファンには誇れるものがあった。
「埼玉には大宮スケートセンターがある!」という事だ。
その名の通り、スケート場なのだが、そのリンクの真ん中にリングを設営して、たびたびプロレスが行われていたのだ。
通常、プロレスのタイトルマッチは日本武道館や両国国技館、大阪城ホールなど大会場で行われる。さらにテレビ中継が入るような重要な試合は、地方の小会場では行われることはないのだが、なぜか大宮スケートセンターではシリーズの要となる試合が組まれることが多かったのだ。
古くはテリー・ファンクとブッチャーの大流血戦、80年代にはクラッシュ・ギャルズとダンプ松本&ブル中野の遺恨試合、
さらに旧UWFの旗揚げ戦、ロード・ウォリアーズの新日初登場健介秒殺試合など、プロレスファンであればヨダレを垂らして喜ぶほどの歴史的な試合が行われてきたのだ。
しかし、埼玉在住プロレスファンの誇りであった大宮スケートセンターは、本業であるスケート場の営業不振から、1996年に廃業。現在では、大きなマンションが建ち、あの在りし日の影は微塵もない。
ああ、浅田真央や羽生結弦があと15年早く登場していれば、埼玉のプロレスファンの誇りは守られたのに……。
今では、過去の遺産としてファンたちの心の中に存在するのみとなってしまった。