授業が終わり帰宅すると、小銭を握りしめて駄菓子屋へ向かう。
昭和の小学生のポピュラーな行動パターンだ。
昭和の子どもたちにはゲームやYoutubeなんていうものはなく、駄菓子屋こそ最高の娯楽であり、社交場だったのだ。
少年たちは、そこでさまざまなおもちゃと出会う。
今回はもっとも昭和的で当時の子どもたちの純粋さがよく分かるおもちゃを紹介しよう。
おばけカード。
表の台紙には、おどろおどろしいおばけの絵が描かれている。
その絵のタッチもかなりいかがわしいのだが、それに乗ってしまうのが昭和の子どもの実に素直なところ。
おばちゃんに10円玉を渡し、1枚引き抜くと袋の中から出てくるのが、台紙と同じようなおばけの絵が描かれたカードだ。
このカードを指でゴシゴシと擦り、その指をくっつけたり離したりすると……
あら、不思議、指の間にモクモクと煙が立ってくるではないか!
“火のないところに煙は立たぬ”と言われるが、これはまさしくその逆をいく超常現象だ!
……今にしてみれば、カードの表面に粘着剤のような物が塗ってあって、煙のように見えるものはそれが糸を引いているだけなのだが、昭和の少年はそれを煙だと信じ、仲間とキャーキャー言いながら不思議がったものだ。
昭和の駄菓子屋には、この商品のようないかがわしいおもちゃも多数あったが、子どもたちは、それに対し何の疑問を持たずに楽しめる純粋な心を持っていた。
全国的に駄菓子屋が減少。
この20年で約7割が廃業してしまった。
それに代わり、コンビニが増えているわけだが、コンビニには当時の駄菓子屋のような夢が詰まっているとはいえない。
子どもたち自体も、昭和の子どものような純粋な心が失われているような気がしてならない。