昼下がり、縁側にて春の日差しにほっこり……
春のあたたかくのどかな光景が思い浮かぶ。
日本人はいつから“ほっこり”するようになったのだろうか?
昔からのんびり気持ちが安らぐことはあっただろう。
ここで言いたいのは“ほっこり”という言葉がいつから使われるようになったのか、である。
少なくとも20年前には“ほっこり”という言葉は日常的に使われるものではなかった。
思い出してみてほしい。
子どものころ、親子の会話で「ほっこりするねえ」や「ほっこりしたいな~」なんてものがあっただろうか。
いつからか、まるで昔からあった言葉であるような懐かしさをまとい、温泉旅行や家電の広告で当たり前に使用されるようになったのだ。
こんな謎の言葉「ほっこり」について調べてみた。
すると、さまざまな説が浮かび上がってきたのだ。
- 「ほっこり」は元々京都にあった言葉で、「ほっこりするわぁ」と言えば「疲れたわぁ」という意味だそう。現在、一般的に使われている意味とは真逆に近いが、外出から帰宅し安心した様を表現する言葉として、間違って広まった。
- 大阪では焼きイモのことを「ほっこり」という。ここからあたたかいものを表現するものとして、心あたたまる様にも使われるようになった。
- 江戸時代からあたたかい様を表現する言葉として「“ほこり”と冬の日向に蝿の居て」といったように「ほっこり」は存在していた。
どの説が正しいかは不明であるが、現在使われている「ほっこり」は、あたたかく心が安らぐ感じを表現するものである。
ほかほか、ほくほく、ほっとする、ほんわか……など「ほ」という音は安心感を与えるようだ。
たしかに、急に使われだした感のある「ほっこり」であるが、意味を聞かなくても、なんとなくこういうことだという想像はできる。
「ほっこり」はその音だけで状態が想像できる素晴らしい言葉なのだ。
カフェでほっこり
愛猫の寝顔にほっこり
使われだして10年ほど。
懐かしくて新しい言葉「ほっこり」は、完全に日本に浸透している。