フィルムの価格は年々高騰している。フィルムカメラの全盛期には多くの種類のフィルムが発売されており、100均ですら買えた。
しかし今は、36枚撮りのカラーネガフィルムが1000円を軽く超える時代に突入している。
筆者がフィルム写真に関する雑誌作りをスタートさせた時代は、まだフィルムカメラとデジタルカメラの逆転が起こる前。
フィルムを楽しむ環境はまだまだ残っていたため、枚数をたくさん撮り、自由な発想で撮影を楽しもう、と言うことができたが、それは今やミスマッチ。
筆者自身も頭を切り替えるため、今回はとにかく1枚1枚を大切に撮ることを意識してみた。
まず季節的に河津桜のスポットを撮影地に選定。
連日の土砂降りでコンディションは最悪だったが、雨の日は光がフラットで撮りやすいし、傘も撮影アイテムになるし、水たまりなどの反射も活かすことができる。
悪天候で撮影枚数は絞られてくる代わりに、偶然目に入ったアイテムを活かしながらも、ゆっくりと立ち止まりどう撮るかを考えるという、「ノリ」を封印したスタイルで臨んだ。
結果、いつもの半分のカット数しか撮影しなかったものの、いいな、と思えるカット数はこれまでと同等に。
またいつも以上に光のことを気にして撮ったため、雨の幻想的な雰囲気をうまくフィルムに残せた気がする。
勢い、無意識、想像を超えたもの。
そういう「偶然」がフィルム写真ではもてはやされるが、ゆとりを持って撮影に臨み、1枚撮るごとにお金がかかる、くらいの気持ちで撮るのも、いまのフィルム環境にマッチしているかもしれないし、フィルムの持つ描写力を享受できる可能性も高まる。
写ルンですなどではなく、露出を操れるカメラを手にしたなら、まず1枚1枚を大切に撮るクセを付けてみよう。
ノリはその後でもいいかもしれない。
大塚びる×不動前
CAMERA:Canon EOS1
LENS:RE TOPCOR 58mmF1.4
FILM:Kodak ULTRAMAX 400
PRINT:POPEYE CAMERA
水たまりは光を拡散してくれる。雨の日ならではの強力な撮影アイテムとなる。
傘も写真を引き締めてくれる役割を果たしてくれる。雨の日は実は撮影日和。
桜の雨の滴が大塚びるさんの顔に付き涙のようになった。今回のハイライト。
背景の光のふんわりとした雰囲気が最高。ポパイカメラでしっとり系プリントにしている。
大塚びる:model
1989年3月18日生まれ。和歌山県出身。A型。T167B86W60H86。趣味:アニメ・映画鑑賞。特技:動画編集。27歳と少々遅咲きでグラビアデビューした、しっとりお姉さん系グラドル。
instagram:https://www.instagram.com/biru_o/
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FILM CAMERA MANUAL
フィルム写真にこだわった活動を続けている本連載の執筆者が、「いまのフィルム環境」を念頭に編集したフィルムカメラ使い方ハウツームック。いまからフィルムを趣味にしてみては。全国書店・家電量販店書籍コーナーなどで発売中。2000円+税。
鈴木文彦(snap!):Photo/Text
フリーランスエディター/フォトグラファー。
フィルム写真『snap!』創刊以降、趣味の写真に関する雑誌・ムック・ワークショップなどを手がける。
主な著書は『フィルムカメラの撮り方BOOK』、『中判カメラの教科書』など。
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